目次
ニューラルネットワーク(2)
前回は、ニューラルネットワークの活性化関数のあたりまで記事にしました。
今回は、ニューラルネットワークの学習プロセスにおけるパラメータ(重みとバイアス)
伝播、誤差逆伝播法、勾配降下法について記事にします。
ニューラルネットワークの学習と最適化
ニューラルネットワークは、入力されたデータを処理し、最終的な予測を出す仕組みを持っています。本記事では、ニューラルネットワークの学習プロセスにおけるパラメータ(重みとバイアス)、伝播、誤差逆伝播法、勾配降下法について詳しく説明します。
1. ニューラルネットワークのパラメータ(重みとバイアス)
ニューラルネットワークの各ノード(ニューロン)は、前の層のノードからの入力を受け取り、それに「重み(Weight)」を掛けて計算を行います。さらに、学習の柔軟性を高めるために「バイアス(Bias)」が加えられます。
重みとバイアスの役割
- 重み(W):入力の重要度を調整する。
- バイアス(b):入力値が0の場合でも調整可能にする。
数学的には、次のように表されます。
ここで、 はノードの入力値の総和を表し、これが活性化関数を通じて次の層に伝わります。
2. 伝播(Forward Propagation)
ニューラルネットワークの学習プロセスでは、まず 順伝播(Forward Propagation) が行われます。
順伝播の流れ
- 入力層 でデータを受け取る。
- 隠れ層 で重み付きの計算を行い、活性化関数を適用。
- 出力層 に計算結果を送る。
- 出力結果を基に誤差(損失)を計算する。
3. 誤差逆伝播法(Backpropagation)
順伝播の後、ニューラルネットワークは 誤差逆伝播法(Backpropagation) を使って学習します。
誤差逆伝播の仕組み
- コスト関数 を用いて誤差(損失)を計算。
- 誤差を出力層から入力層へ逆方向に伝搬。
- 各層の重みとバイアスが誤差に与える影響を計算(偏微分)。
- 勾配を求め、パラメータを更新する準備をする。
コスト関数の例
- 平均二乗誤差(MSE):回帰問題で使用。
- クロスエントロピー誤差:分類問題で使用。
4. 勾配降下法(Gradient Descent)
誤差逆伝播法で求めた勾配を元に、重みとバイアスを更新するために 勾配降下法(Gradient Descent) を適用します。
勾配降下法の仕組み
- 誤差逆伝播法によって計算された勾配を使用。
- 誤差が小さくなる方向に重みとバイアスを更新。
- 学習率(Learning Rate) を考慮して更新の大きさを調整。
- 誤差が十分に小さくなるまで繰り返す。
最適化アルゴリズムの種類
- 確率的勾配降下法(SGD)
- ミニバッチ勾配降下法(Mini-Batch Gradient Descent)
- Adam(適応学習率を持つ最適化手法)
5. モデルの評価・調整
学習が完了した後、モデルの性能を評価し、さらなる調整を行います。
評価手法
- 精度(Accuracy):分類問題での正解率。
- 損失(Loss):コスト関数の最終値。
- 混同行列(Confusion Matrix):分類結果の詳細な分析。
モデルの調整
- 学習率の最適化:適切な学習率を選定。
- ドロップアウト:過学習を防ぐ。
- データの前処理改善:正規化や特徴エンジニアリング。
6. ファインチューニング(Fine-Tuning)
ファインチューニングは、事前学習済みのモデルをベースにして、新しいデータに適用するために追加の学習を行う手法です。
ファインチューニングの手順
- 事前学習モデルのロード:例えば、ImageNetで学習済みのResNetを利用。
- 出力層を変更:タスクに合わせて新しい出力層を追加。
- 特定の層を凍結(Freezing):初期の層はそのままにし、高次の層のみ更新。
- 新しいデータで追加学習:新しいデータを使い、勾配降下法で最適化。
ファインチューニングの利点
- 少量のデータでも高精度なモデルを構築できる。
- 計算コストを抑えつつ、高性能な予測が可能。
- 学習済みの特徴を活用し、効率的な学習が可能。
7. まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
パラメータ | 重みとバイアスを調整して学習 |
伝播 | 順伝播で計算、誤差を取得 |
誤差逆伝播法 | 誤差を逆方向に伝え、パラメータを更新 |
勾配降下法 | 誤差を最小化するための最適化手法 |
モデルの評価・調整 | 学習後のモデルの最適化 |
ファインチューニング | 事前学習モデルを適応させ、新データで学習 |
ニューラルネットワークの学習には、データの伝播と誤差の調整が重要な役割を果たします。
次は、ハイパーパラメータ調整についての学習を記事にします。