信頼性


信頼性(Reliability)【AZ-900対策】

信頼性とは、サービスやシステムが安定して動作し続け、必要なときに利用できる状態を確保することを指します。

クラウドでは、ハードウェア故障・ネットワーク障害・自然災害など様々なトラブルに備え、
常にサービスを利用できるようにする仕組み が用意されています。


なぜ信頼性が重要なのか

システムが止まれば次の影響が発生します。

  • 業務が停止する
  • 顧客利用ができず売上を失う
  • 社内システムが利用不能になる
  • データの破損リスクが生じる

クラウドが提供する信頼性により、これらのリスクが大幅に低減されます。


信頼性を支えるクラウドの仕組み

1. 冗長化されたデータセンター

Azure は世界各地に複数のデータセンターを持ち、
その中でさらに 複数の設備が冗長化(予備を複数用意) されています。

  • 電源の冗長化
  • ネットワークの冗長化
  • ハードウェアの冗長化

これにより、ハード故障や電源障害が発生してもサービス継続が可能です。


2. 可用性ゾーン(Availability Zones)

1つのリージョンの中に、独立したデータセンター群(ゾーン)が複数存在します。

特徴

  • 物理的・電源的に完全に独立
  • ゾーン障害時も別ゾーンで継続
  • 高可用性構成に必須

3. SLA(サービスレベル契約)

Azure はサービスごとに 稼働率の保証値 を公開しています。

  • 99.9%
  • 99.95%
  • 99.99%(Four Nines)

SLA が高いほど、年間の停止時間は短くなり、信頼性が高くなります。


4. リージョンペア

Azure では各リージョンが「ペア」として紐づいています。

特徴

  • ペア同士は地理的に離れている
  • 大規模災害でも片方が生き残る
  • 更新作業も片側ずつ行われる
  • データ複製(DR構成)に利用される

これは信頼性と災害復旧(DR)を支える重要な仕組みです。


5. バックアップとデータ保護

Azure Backup やストレージの冗長化(LRS/ZRS/GRSなど)により
データそのものが失われるリスクを低減 できます。


信頼性を高める設計の例

クラウドで信頼性の高いシステムを構築するには、次のような設計が行われます。

  • 複数の可用性ゾーンに分散配置
  • 負荷分散装置(Load Balancer / App Gateway)の利用
  • データの地理冗長レプリケーション
  • バックアップと復元の計画
  • 自動スケールによる負荷対応

信頼性と高可用性(HA)の違い

似た概念ですが、視点が異なります。

概念説明
信頼性(Reliability)システムが安定して動作し続けるか(広い概念)
高可用性(HA)障害があっても「サービスを止めない」ための仕組み(信頼性の一部)

信頼性の中に HA が含まれているイメージです。


AZ-900で理解すべきポイント

  • 信頼性=サービスが安定して利用できる能力
  • 冗長化・可用性ゾーン・リージョンペアが信頼性を支える
  • SLA(稼働率の保証)は信頼性の指標
  • バックアップやDRは信頼性向上につながる
  • 高可用性(HA)は信頼性の一構成要素