高可用性(HA)


高可用性(High Availability, HA)とは(AZ-900対策)

高可用性(High Availability, HA)とは、システムやサービスが停止せず、継続的に利用できる状態を保つ仕組みのことです。クラウドサービスにおいて最も重要な基本原則の一つであり、Azure でも頻繁に登場する概念です。


高可用性が重要とされる理由

高可用性が求められる背景には次のような理由があります。

  • システム停止は業務停止につながる
  • 売上や機会損失を生む可能性がある
  • 顧客満足度・信頼性に直結する
  • 24時間365日でのサービス提供が求められる

クラウド利用が進む現代では、システムが止まらないことは当たり前の基盤条件です。


高可用性の考え方

高可用性を実現するための基本ポイントは次の通りです。

● 単一障害点(SPOF)をなくす

「1つが壊れたら全部止まる」という箇所を排除することが必要です。

● 冗長化(Redundancy)

予備システムやバックアップを複数持つことで、故障時でも継続して稼働できます。

● 自動切り替え(フェールオーバー)

障害発生時に、別のシステムやサーバーへ自動で切り替わる仕組みです。

● 監視と復旧体制

問題を早期検知し、復旧までの時間を短くすることで稼働率を保ちます。


高可用性と冗長化の違い

よく混同される概念ですが、次のように整理できます。

  • 冗長化(手段):予備を持つこと
  • 高可用性(目的):システムを止めないこと

冗長化は HA を実現するための構成要素の一つです。


高可用性の指標:SLA(稼働率の保証)

Azure を含むクラウドサービスでは、稼働率を表すために SLA(Service Level Agreement) が利用されます。

よくある稼働率例

  • 99.9%(Three Nines)
  • 99.99%(Four Nines)
  • 99.999%(Five Nines)

稼働率が高いほど、年間の停止時間は短くなります。

例:

  • 99.9% → 年間約8.76時間の停止
  • 99.99% → 年間約52分の停止

高可用性を実現する典型的な仕組み

Azure の具体技術を理解する前に、一般的な HA の仕組みを押さえておきます。

● 多重構成(複数サーバー稼働)

複数のサーバーを同時稼働し、1台が故障しても他が処理を続ける。

● 負荷分散(ロードバランシング)

複数サーバーに処理を分散し、一部が停止してもサービス全体を継続できる。

● データの複製

データを複数箇所に保管し、破損時に復元できる状態にする。

● 自動スケールと監視

負荷に応じて自動でリソースを増減し、常に安定して稼働できる。


高可用性が実現されている例

  • Webサイトが常に利用可能で、障害が発生してもユーザーが気づかない
  • 複数のサーバーが並列稼働し、片方が落ちてもサービス提供が継続される
  • データベースのバックアップが自動的に複製され、障害時に復元できる

AZ-900で絶対に理解しておくべきポイント

  • 高可用性=「止まらないシステムを作ること」
  • 冗長化(予備を持つ)は HA を実現する手段
  • SLA は稼働率を数値化した指標
  • フェールオーバーや冗長化は HA 実現のための仕組み
  • Azure では「可用性ゾーン」「リージョンペア」などが HA 実現に利用される