弾力性


弾力性(Elasticity)とは(AZ-900対策)

弾力性(Elasticity)とは、システムが必要なときに自動でリソースを拡張し、不要なときに自動で縮小する能力のことです。クラウドの特徴の中でも非常に重要で、「使った分だけ支払う」というクラウドのメリットを最大限引き出す性質です。


弾力性が重要な理由

クラウドで弾力性が求められるのは、以下のような負荷変動が起きるためです。

  • アクセスが急増する時間帯がある
  • イベント・キャンペーンの期間に集中アクセスが発生する
  • 夜間や休日はアクセスが少ない
  • 常に最大リソースを確保するとコストが高くなる

弾力性を持つことで 必要な時はスケールし、不要な時は縮小し、コストを自動最適化 できます。


スケーラビリティとの違い

よく混同される概念ですが、次のように区別します。

概念意味
スケーラビリティシステムが拡張できる能力(“能力”)
弾力性(Elasticity)その拡張や縮小を自動で行う仕組み(“仕組み”)

クラウドの自動スケールは、この「弾力性」を指しています。


弾力性を実現する仕組みの例(クラウド全般)

弾力性はクラウド固有の仕組みで、オンプレミスにはほぼありません。
以下のような機能により自動増減が可能になります。

● 自動スケール(Auto Scaling)

負荷に応じてサーバー台数を増やしたり減らしたりします。

● メトリックベースの制御

  • CPU使用率
  • メモリ使用量
  • リクエスト数
    などに応じて増減します。

● 時間ベースのスケジュール

決まった時間帯に自動でスケールする方法もあります。


Azure における弾力性の例

Azure では次のようなサービスで弾力性を持つことができます。

Azure Virtual Machine Scale Sets(VMSS)

  • VM 台数を自動で増減できる
  • Traffic に応じてスケール

Azure App Service の自動スケール

  • インスタンス数を自動で増減
  • Web アプリ運用に必須の仕組み

Azure Functions(Serverless)

  • リクエストが来た時だけ自動でスケール
  • 利用時課金で最も代表的な弾力性サービス

弾力性がもたらすメリット

弾力性を持つことで、以下のようなメリットがあります。

  • コスト最適化
    不要な時間はリソースを縮小できるため、無駄な料金が発生しない
  • パフォーマンスの安定
    アクセスが集中しても自動で拡張し、応答速度を維持できる
  • 管理の簡素化
    人が監視して手動でスケール調整する必要がない
  • 従量課金と相性が良い
    クラウドならではの柔軟なコスト管理が実現

弾力性が発揮されるシナリオ例

  • EC サイトのセール時のみトラフィックが急増
  • 社内システムの昼休み時間帯だけアクセス量が上昇
  • 夜間に処理するバッチは一時的に大量の計算が必要
  • IoT デバイスからのデータ送信が時間帯で変動する

このような「波のある負荷」に最適です。


AZ-900 で必ず理解しておくべきポイント

  • 弾力性=自動でスケールする能力
  • スケーラビリティ(拡張能力)とは別概念
  • Azure の自動スケール機能やサーバーレスが代表例
  • コスト最適化や安定したサービス提供につながる
  • 需要に応じてリソースをオンデマンドで増減