伸縮性/柔軟性

伸縮性・柔軟性(Elasticity / Scalability)


クラウドの 伸縮性・柔軟性(Elasticity / Scalability) とは、
需要(負荷)に応じてリソースを増減できる能力 を指します。

  • 伸縮性(Elasticity)= 必要に応じて自動で増減
  • 柔軟性(Scalability)= 拡張できる能力そのもの

オンプレミスでは困難だった負荷変動への対応を、クラウドでは簡単に実現できます。


伸縮性(Elasticity)


Elasticity は、必要なときに自動でリソースを増やし、不要なときに自動で縮小する 性質です。

特徴

  • 自動でスケールアウト/スケールイン
  • 無駄なリソースを確保しない
  • コスト最適化に効果的
  • サービスの負荷変動に強い

代表例(Azure)

  • App Service の自動スケール
  • Virtual Machine Scale Sets(VMSS)
  • Azure Functions のサーバーレス自動スケール

柔軟性(Scalability)

Scalability は、システムが拡張できる能力です。
Elasticity の「仕組み」に対して、Scalability は「性質」であり、増減の方法や範囲を指します。

種類


● 垂直スケール(Scale Up)

サーバーの性能を強くする(CPU・メモリを増やす)


● 水平スケール(Scale Out)

サーバーの台数を増やす(分散して負荷を処理)


伸縮性と柔軟性の違い(まとめ)

概念役割
伸縮性(Elasticity)リソースを自動で増減する「仕組み」
柔軟性(Scalability)リソース拡張が可能な「性質」
関係性柔軟性を基盤に、伸縮性で自動化する

Elasticity は、Scalability を自動化したもの、と理解すると正確です。


伸縮性・柔軟性が必要な理由

現代のシステムでは負荷が一定とは限りません。

  • 昼休みにアクセスが集中する
  • セールで EC サイトのトラフィックが急増する
  • 夜中はほとんどアクセスがない
  • IoT などは時間帯でデータ量が変動する

クラウドではこれらの変動に リアルタイムで対応 できます。


Azure における具体的な伸縮性の仕組み

● 自動スケール(Auto-scaling)

  • CPUやメモリが閾値を超えたら自動でスケールアウト
  • 負荷低下でスケールイン
  • 時間スケジュールに合わせた自動調整も可能

● コンテナオーケストレーション(AKS)

  • Kubernetes による自動スケール(HPA / VPA)

● サーバーレス(Azure Functions)

  • リクエストが来た時だけ実行
  • イベント駆動型でリソースが自動で伸縮

● データベースのスケール

  • Azure SQL Database のスケール
  • 読み取りレプリカによる分散

伸縮性・柔軟性のメリット

  • コスト最適化:必要なときだけリソースを使う
  • 高いパフォーマンス:アクセス増加でも耐えられる
  • 安定運用:負荷変動による障害を防止
  • 管理コスト削減:自動化による運用負荷の軽減

クラウドのメリットの中でも最も実感しやすい機能です。


AZ-900で理解すべきポイント

  • Elasticity = 自動的な増減
  • Scalability = 拡張できる性質
  • 垂直スケールと水平スケールの違い
  • Azure の自動スケールは非常に重要
  • コスト最適化とも密接に関連する