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リージョンペア(Region Pair)【AZ-900対策】
リージョンペアとは、Azure が公式に定めている
2つ1組のリージョンのペア関係
のことです。
特徴として、
- 地理的に離れた2つのリージョン
- Azure が公式にペアを定義
- 大規模災害でも片方が生き残るように設計
- 更新(メンテナンス)はペアごとに順番に実施
- データレプリケーションの優先ルート
などが挙げられます。
災害復旧(DR)や高信頼性のシステム構築に欠かせない仕組みです。
なぜリージョンペアが必要なのか
リージョンペアは 大規模災害対策(DR) に特化した概念です。
● 大規模災害でもサービスを守る
両リージョンは 地理的に大きく離れており、同時被災しにくい ように設計されています。
例:
- Japan East(関東) ↔ Japan West(関西)
巨大地震などでも、双方が同時に停止しない前提の設計です。
● Azure の更新はペア単位で行われる
Azure のシステム更新(メンテナンス)はペアごとに順番に行われるため、
サービス全体が同時に停止しない ように配慮されています。
● データ複製を安全に行える
多くの冗長性オプション(GRS、GZRSなど)は
リージョンペアを利用して自動レプリケーション をします。
これにより、データ消失のリスクが大幅に低減します。
日本のリージョンペア
Azure 日本リージョンのペアは次のとおりです。
| リージョン | ペア |
|---|---|
| Japan East(東日本) | Japan West(西日本) |
国内で DR 構成を組む場合は、ほぼこの組み合わせを利用します。
リージョンペアのメリットまとめ
1. 地理的な分離で DR に強い
災害が片方に発生しても、もう片方で運用継続できる。
2. Azure 更新の影響を最小化
ペアの両方が同時に更新されることはなく、
片方ずつ実行 → 停止リスクの最小化
3. データレプリケーションの最適化
GRS(Geo-Redundant Storage)や GZRS は、
リージョンペア間でデータを自動コピーします。
4. 事業継続計画(BCP)に最適
企業の BCP 戦略において、リージョンペアは基本構成になります。
可用性ゾーンとの違い
AZ-900で混乱しやすいポイントを明確に整理します。
| 概念 | 説明 |
|---|---|
| 可用性ゾーン | リージョン内の独立したデータセンター群(小~中規模障害対策) |
| リージョンペア | 地理的に離れた2リージョンの組(大規模災害対策) |
つまり、
- ゾーン=リージョン内の冗長化(HA)
- リージョンペア=リージョン間の冗長化(DR)
という関係です。
リージョンペアは自動選択される
Azure が管理する内部ルールにより、
各リージョンにはあらかじめペアが決められている ため、
ユーザーが自由に「ペアを選ぶ」ことはできません。
その代わり、Azure 内の全サービスや冗長構成が安全に動くよう自動最適化されています。
AZ-900で理解すべきポイント
- リージョンペア=Azure が定めた 2つの地理的に離れたリージョン
- 大規模災害(DR)に対する仕組み
- 更新はペアごとに順番に行われる
- GRS / GZRS はリージョンペアにデータ複製
- ゾーンとリージョンペアは別概念