タイムスタンプ（電子署名）

概要・経緯

タイムスタンプとは、デジタルデータに対して、そのデータが存在したという事実を証明する日時情報を付加する技術です。これにより、データの作成や変更がいつ行われたかを後から証明することが可能になります。電子署名と組み合わされることで、データの完全性や非否認性が保証されます。タイムスタンプの技術は、デジタル時代における文書や契約の信頼性を高めるために開発され、様々なビジネスや法的文書での使用が進んでいます。

内容

タイムスタンプは通常、信頼できる第三者機関（タイムスタンピング機関、TSA）によって提供されます。デジタルデータにタイムスタンプを付加する際、そのデータのハッシュ値をTSAに送信し、TSAはそのハッシュ値と正確なタイムスタンプ、さらにTSAの電子署名を組み合わせた証明書を返送します。これにより、データがその時点で存在していたことが第三者によって証明され、データの改ざんがないことが保証されます。

詳細

タイムスタンプには様々な技術的詳細がありますが、重要な点はそのセキュリティです。電子署名と同様に、タイムスタンプも公開鍵基盤（PKI）に基づいて運用されます。TSAの公開鍵は広く配布されており、これにより誰でもタイムスタンプの正当性を検証することができます。また、タイムスタンププロトコル（TSP）は、データのタイムスタンプのリクエストや応答のフォーマットを標準化しており、国際的にも広く認められています。

このように、タイムスタンプはデジタルデータの信頼性を大きく向上させるための重要なツールです。特に法的な文書やビジネスの契約において、その証明力が非常に重要視されています。

電子帳簿保存法で、電子化必須の対象になるの企業には、導入必須になるのか？

電子帳簿保存法に関連して、日本では近年、法改正が行われており、特定の業種や企業規模の企業に対して、取引情報の電子保存を義務付ける方向で動いています。具体的には、2022年度の税制改正大綱において、売上高が1億円を超える企業を対象に、電子取引情報の保存方法を電子保存に限定する方針が明らかにされました。これにより、該当する企業は、取引情報のデジタル保存が必須となり、それに伴いタイムスタンプの使用も必然的に増加する可能性があります。

導入必須の可能性

• 法的要件の厳格化
  政府はデジタル化を推進し、企業に対してもその準拠を求めています。電子帳簿保存法の下で、特定の企業に対する電子化の要件は、法的義務として設定されるため、対象企業は適合しなければなりません。

• 監査・検証プロセスの強化
  電子保存されたデータは、監査や法的検証においてその真正性が問われることがあります。タイムスタンプはこれらのデータが特定の時点で存在していたことを証明するための重要なツールとなるため、電子帳簿保存法に準拠する企業には導入が推奨されるでしょう。

• 信頼性と透明性の向上
  電子化された帳簿や取引記録にタイムスタンプを付けることで、企業はその記録の正確性と変更されていないことを第三者に対して確実に示すことができます。これにより、企業の信頼性と透明性が向上します。

したがって、売上高が1億円を超える企業や特定の業種に所属する企業には、電子帳簿保存法の下での電子取引記録の保存とともに、タイムスタンプの導入が事実上必須となる可能性が高いです。これにより、法的要件の準拠だけでなく、データの信頼性の向上という点でも大きなメリットがあります。